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イエレンさんは利上げ時期に踏み込めるか

【著者】

世界的にマーケットが膠着している。為替市場のみならず、株式市場、債券市場も静かなままになっている。8月は円高やリスクオフの動きのアノマリーがあるが、今年は今のところ静かなままだ。

ここのところFed高官からタカ派的な発言が続いている。
ダドリーNY連銀総裁は、一段の利上げが適切となる時期が近づいている。
ロックハート・アトランタ連銀総裁は少なくとも年内1回の利上げの可能性を排除しない、9月の利上げもありえる。
そして最後には、フィッシャーFRB副議長が米国の雇用も物価も目標に近づいたとして、年内の利上げに前向きな発言となった。

前回のFOMC議事録でメンバーの意見が割れたことが判明したが、こうしてみると多くのメンバーが年内の利上げを示唆する中でイエレンFRB議長とブレイナードFRB理事のハト派振りが目立っているように思われる。

イエレンFRB議長はトランプ氏が大統領になった場合は、任期が切れた場合は延長は無いといわれている。またブレイナードFRB理事はヒラリー氏と近く、ヒラリー氏が大統領になった場合は時期財務長官候補とも言われている。Fedメンバーはそのような政治的な背景からは独立していると思われるが、選挙前の利上げを躊躇する理由を明確に説明してもらいたいところだ。

イエレンFRB議長は労働経済の専門家であり、インフレの上昇には労働者の賃金の上昇が必要であると主張している。前月の雇用統計での賃金の上昇は年率で2.6%だったが、これがリーマンショック前は3.2~3.3%ほどあった。さすがにその頃の賃金の上昇率には届いていないが、米国のコアインフレ率は1.6%ほどでFedのターゲットの2%に近づいている。ここらへんがフィッシャーFRB副議長が目標に近づいていると述べた理由になっている。
仮にイエレン氏がハト派の発言をした場合は、そこらへんをどのように説明するのか注目したい。

また、今回のジャクソンホールでのシンポジウムでは黒田日銀総裁も参加しており、日本時間の土曜日に発言するために週明けの相場に影響を与える可能性もある。

YEN蔵|ADVANCE CEO

YEN蔵

シティバンク、スタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。独立し現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 為替を中心に株式、債券、商品と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。