日米金融政策に対する思惑

8日に開催されたECB理事会では予想通り金融政策を据え置いた。
ドラギECB総裁は記者会見で、資産買い入れの円滑な実施を確実にするための選択肢を検討するよう指示し追加緩和の期待をつないだ。
しかし、一部で予想されていた月間800億ユーロの資産買い入れの延長(2017年3月までとなっている)に関しては議論しなかったと述べたことで、欧州債券利回りが上昇した。(ドイツ10年債利回りは-0.12%から-0.057%に上昇)
欧州債券利回りの上昇を受けて米国債利回りも上昇(米10年債利回りは1.539%から1.6007%に上昇)したことで、ドル円も101円台から102円台中盤に上昇した。

9日はローゼングレン・ボストン連銀総裁(FOMCでの投票権あり)は「FRBが利上げを待ちすぎれば米経済は一段とリスクに直面する。」とタカ派的な発言し、米10年債利回りは前日の1.61%から1.6749%と6月24日以来の高値に上昇した。
Fed高官からタカ派的な発言が出ることで、マーケットは再び早期利上げへの危機感を高めたことで債券利回りが急騰した。米債券利回りは6月24日以来のレベルに上昇したのだが、この日は英国の国民投票でEU離脱決定、弱い米耐久財受注の数字を受けて米10年債利回り1.7%から1.4%台に急落しダウは611ドル安となっていた。
9日はニューヨークダウも394ドルの下落となり、債券の下落(利回りは上昇)、株価の下落と市場は不穏な動きになってきている。

しかし12日にはブレイナードFRB理事が、現在のニューノーマルは緩和的な政策の解除に慎重である必要がある。労働市場は完全雇用から遠い状態の可能性もあり、予防的に金融を引き締めることの根拠はそれほど強くないとことを示している可能性があると述べた。
ハト派らしく、早期の利上げは時期尚早と警鐘を鳴らすことになった。
この発言を受けダウは反発しドル円は101円台中盤に下落した。

来週のFOMC、日銀会合を控えて市場は神経質になっている。ダウは乱高下しているが、日経平均はドル円の下値がサポートしていることもあり落ち着いている。ドル円も株価が下落してもリスクオフの動きにならず、ドル買いの動きとなっている。来週の会合までは、引き続き101.50~103.50のレンジで推移するのではないだろうか。

YEN蔵|ADVANCE CEO

YEN蔵

シティバンク、スタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。独立し現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 為替を中心に株式、債券、商品と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。