ビッグイベントのダブルヘッダーが終了した

日銀は追加緩和とはいえないが、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した。今回マイナス金利を維持したまま10年もの国債の利回りをゼロ%に維持するように国債を買い入れイールドカーブをコントロールする。
オーバーシュート型コミットメントとして2%のインフレ目標が達成されるまで金融緩和にコミットメントすることが決定された。

これは短期金利を低いままにして長期金利をある程度高く維持し、銀行や生命保険会社の収益に配慮する政策ともいえる。
またETFの買い入れでは2.7兆円をTOPIX連動ETFを対象とすることとした。

決定を受けて日経平均は1.91%上昇、TOPIXも2.71%の上昇となり特に銀行株指数は7%近い上昇となった。ドル円も一時102.70付近まで上昇したが、これは株高に連動したもので、今回の日銀の決定事態は円安に寄与するものではなかった。
このため欧州時間に入るとドル円、クロス円は急落した。

まず今回の日銀の動きが追加緩和とは言い切れない部分がある。ここまで金融緩和は量的な部分が中心となり、今年に入ってマイナス金利が導入されたのだが、そのマイナス金利が金融業界、特に銀行からの評判が悪かった。

銀行は短期で資金を調達して長期で貸し出すことを主業務としている。
しかしマイナス金利の導入もあり、利回り全体が低下することにより長期貸し出しと短期の調達の間のスプレッド(利ざや)の確保が難しくなった。
また20~40年の長期金利の低下は、長期での運用を中心とする生命保険会社の運用実績を悪化させた。
今回の措置はそれらのマイナス材料に配慮する形で、短期の金利を低いまま、10年債以上の金利を高く維持することを狙った。

結局銀行、生保業界にとってはプラスということでそれらの株価は上昇した。しかし為替に関しては特段円安をサポートする材料は無く、おそらく株価の上昇を受けた円安だったのだろうと思われる。
結局ドル円、クロス円の上昇は続かず、円高が進行している。
これはFOMCでの影響もあるのだが、それに関しては次回解説する。

YEN蔵|ADVANCE CEO

YEN蔵

シティバンク、スタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。独立し現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 為替を中心に株式、債券、商品と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。