マーケット

中国の米国債売却と介入

【著者】

人民元の対ドルレートは2014年1月に1ドル=6.04元となり人民元の高値となった。
その後人民元は下落を開始し2014年は1ドル=6.2元付近で安定していたが、2015年に入ると下落トレンド顕著になり2015年末には6.5元に下落し、10月27日の人民元基準値は6.7736元となった
人民元安は米国の輸出で30兆円以上の黒字を稼ぐ中国にとっては好材料だが、もちろん米国サイドとしては見逃せない問題になる。

USD/CNY週足チャート

usdcny
(出所:Investing.com)

米国は2月に成立した貿易円滑化・貿易執行法に基づき監視リストを作成。それには中国、韓国、台湾、ドイツ、スイス、日本がのっている。監視リストは対米貿易黒字基準、経常収支基準、介入基準があり日本は貿易黒字基準、経常収支基準で抵触しており、中国は貿易黒字基準で抵触している。

米財務省のあわせ報告書も問題なのだが、中国の場合は個々のところ外貨準備が急減している。正確な統計が無いので推測でしかないのだが、中国から海外に莫大な資本流出が続いており、この資本流出が人民元安の一因になっている。緩やかな元安は中国にとっては好ましいが、資本流出が止まらないことは中国にとっては無視できない問題だろう。

報道によると中国は8月に340億ドル相当の米国債の売り越しとなり過去最大を記録した。資金流出による急激な元安を食い止めるために、ドル売り元買いの介入を継続しているものと思われる。ドル売り人民元買い介入を行うための原資は保有する外貨準備のドルであり、このドルはおそらく米国債への投資によって運用されている。自国通貨防衛のための介入は外貨を売らなければならないので、介入の上限は保有する外貨準備の額ということになる。もちろん通過スワップ協定を他国と結んでいる場合は緊急避難的にドルを借りてきて介入に利用することは可能だが、そこまで来ると勝負あったということなってしまう。

中国の外貨準備は豊富なために介入資金は潤沢と思われるが、人民元の動き、中国の外貨準備の増減、米国債の需給は今後も目が離せない。

YEN蔵|ADVANCE CEO

YEN蔵

シティバンク、スタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。独立し現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 為替を中心に株式、債券、商品と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。